読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

氷塊する牛乳プリン

世の中へのルサンチマンと、ごはんについて。

「女性らしさ」という概念の為だけに、肉じゃがを作りたくない。

だって私は肉じゃがが好きじゃないから。

 先日ご飯を食べ終わった後、ひとりでTVを見ていたら、レスリング女子代表の浜口京子さんと、京子さんのお母様が「花嫁修業」という設定で、某お料理教室にて肉じゃがを作っていた。京子さんのお母様が「どんなに強くても女性たるもの日本食の1つや2つ出来て初めて女性として認められる」とかそんなニュアンスの事を言い、それに被せて「肉じゃがは男性が作ってもらったら嬉しい料理ですからねえ」と、スタジオからそんな声が飛んでくるが、実際みなさん、どうでしょう。

肉じゃが作ってあげたい? or 作ってもらって嬉しい?

 と私は常々思っている。 

 

確かに、世間一般の「女性像」がおっしゃるとおりに煮物が出来る女性は素敵だと思う。煮物は味を素材に浸透させるために時間がかかる。その為に火加減を調整するのも気を遣う。野菜の面は取れだの、下茹で必須だの手もかかる。なにより醤油・みりん・酒・だし・砂糖……とまぁ、しょっぱかったり甘かったりやたら沢山の調味料を使い、それらのバランスを取って味付けするのは結構大変。大変なうえに味が浸透するまで味見も出来ない。修正するにも修正が効きにくい。確かにめんつゆ1本でどんな料理でも出来るとは聞くが、ろくに和食も作らないくせに「めんつゆ使い出すと全部めんつゆの味になるよね」と母親に言われた事もあり、どうも煮物で麺つゆを使う気にならない。(それ以前に作る気にもならないなら、使う気にはもっとならない)

私の母親は専業主婦の為、私は小さな頃から母親の作るご飯を食べて来たつもりだ。嫌いな食べ物もないため、煮物も抵抗なく食べて来た。食べてはきたが、私別にそこまで肉じゃがが好きじゃないんだよな。って言う話だ。これを言っては元も子もないのだが、好きじゃないから作らないのはしょうがない。

その他、じゃがいもは一度調理してしまうと足が早い食材なので日持ちがしない。夕飯の残りを、翌日お弁当に入れて持って行く私に取っては、なおさら手が出しにくい野菜だ。作るのに手間がかかる事に加え、日持ちしなさそうだと言う理由も私の肉じゃがメイクハードルを極めて高くしている原因である。

 

肉じゃがという「概念」。

では、 肉じゃがが好きな・肉じゃがに思い入れのある男性 はどれほどいるのだろうか。なんて事も考える。実際家庭で食べ親しんできた味だとは言え、万人の好物になりうるようなメニューでもないし、はたまた味噌汁の様にほぼ毎日出てくる味でもない。

多分「彼女に作ってもらったら嬉しい手料理の代表格に肉じゃがが君臨している」という情報が出回る事により、むしろ女性側が「じゃぁ肉じゃがを作れれば喜んでもらえるだろうか」と思い込んでいる、その連鎖に過ぎないんだろうなぁと想像もしたが、男性側の意見はどうなのだろうか。

 

 R25のランキングを読んでも2位に「肉じゃが」がいる。

r25.jp

 【2位 肉じゃが】
「彼女につくってほしい料理の定番」(38歳)、「やはり肉じゃがといえば家庭の味」(26歳)、「料理の腕や、味に対しての相性が一番出る料理だと思う」(29歳)、「味つけがわかりやすく、味覚センスもわかりやすい」(37歳)。

と言うのが肉じゃが支持派の言い分のようだ。

3位から揚げ4位ハンバーグを差し置いての2位のくせに、そこには「好きだから」と言う意見が1つもないのが気になる。私だったらから揚げとかハンバーグの方ががぜん作ってもらって嬉しい。

 

一方女性サイドからはこんな意見。ここでも順位こそついていないが3番目に出てくるのが「肉じゃが」。

mery.jp

 

そして男性からのこんな意見が。

「風邪をひいて寝込んでいるときに、肉じゃがを作ってもらいました。そのあまりのおいしさに感動しました」(24歳/卸/システム)

出典: news.mynavi.jp

いくらなんでもそれはないだろ……言いたくて仕方がないが、そこはぐっとこらえて現実を受け止める。そこはおうどんとかリゾットの出番じゃないのかと思いたいのだが。

 

だから「肉じゃが」は「花柄のワンピース」

「男性が作ってもらいたい料理」も「女性が作ってあげたい料理」も表裏一体で卵が先か鶏が先か、みたいな話だなあと思った。これもメディアが育て上げた概念なんだろう。

ただ「肉じゃが」については、やっぱり他のメインおかずと比較しても、「おいしいから作って欲しい」とか「好きだから食べたい」と言う意見より、やっぱり「家庭的」「女性らしい」と言う理由でだけでランクインしている様に思える。そんなイメージの為にわざわざ好きでもない肉じゃがを作ろうとはますます思わない。

 

こいつは手料理界の「花柄ワンピース」的な存在なのではないか……。

本当に花柄のワンピースが似合うどうかは別として「とりあえずこれを着ていればいいんじゃないか」と言うイメージは強い。よそ行きの服でも本当にかわいいと思える服がカレーライスなら、「女性らしい」と言うイメージで一蹴されてしまう肉じゃがは花柄のワンピースに近い気がする。私はそのイメージの為に、花柄のワンピースは着ない。好きでもない柄の服を着ても似合わないから、自分が食べたいと思わない料理を作っても、「似合わない」事が相手にばれてしまう。特にお互いの相手の好きな食べ物でもなく、作りたいと思った訳でもなく、また、「食べたい」と言う要望を受けた訳でもなく、ただただ「女性らしい」と言うイメージの為にごはんは作りたくないのが私の本音である。

 

ただ、私はそこまで肉じゃがが好きじゃない分、その材料があれば豚汁を作りたいと思うのだが……。どうしてか豚汁の名前があがらない事がさみしいが、共感してくれる人は多数いると信じている。

 

3694